2026年10月1日、厚生労働省から第58回(令和8年度)社会保険労務士試験の合格者が発表されました。合格率は9.3%。前年の5.5%から3.8ポイントも上昇し、合格者数は3,961人と、過去10年で最も多い数字になりました。
「今年は易しかったのか」「来年も合格率は高いままなのか」——受験を考えている人にとって気になる点は多いはずです。この記事では、厚生労働省の公表データをもとに、2026年の試験結果を整理し、2027年に受験する人が押さえておくべきポイントを解説します。
1. 2026年(第58回)社労士試験の結果まとめ
まずは主要な数字を確認しましょう。
| 項目 | 2026年(第58回) | 2025年(第57回) |
|---|---|---|
| 受験申込者数 | 52,842人 | 53,618人 |
| 受験者数 | 42,510人 | 43,421人 |
| 受験率 | 80.4% | 81.0% |
| 合格者数 | 3,961人 | 2,376人 |
| 合格率 | 9.3% | 5.5% |
試験は2026年8月23日に全国19都道府県で実施されました。申し込んだ人のうち約2割が当日受験していない点も、毎年見られる傾向です。受験者数はほぼ横ばいだったにもかかわらず、合格者は前年より1,585人増えています。
2. 合格基準点と「救済」の結果
社労士試験は、選択式と択一式の両方で「総得点の基準」と「科目ごとの基準」を満たさなければ合格できません。2026年の合格基準は次のとおりでした。
| 区分 | 2026年の合格基準 | 2026年の平均点 | 2025年の合格基準 |
|---|---|---|---|
| 選択式(40点満点) | 総得点25点以上、各科目3点以上 (雇用保険法は2点以上) | 23.5点 | 総得点22点以上 |
| 択一式(70点満点) | 総得点47点以上、各科目4点以上 | 33.6点 | 総得点42点以上 |
選択式の救済は「雇用保険法」のみ
2026年に科目別の基準点が引き下げられた、いわゆる「救済」が行われたのは、選択式の雇用保険法(3点→2点)だけでした。択一式では救済科目はなく、全科目で4点以上が必要でした。
救済は、受験者の多くが科目の基準点に届かなかった場合に検討される仕組みです。一般に、基準点(選択式3点・択一式4点)に達した受験者が5割に満たない科目が対象になるとされ、引き下げると7割以上が基準を満たしてしまう場合などは行われないと説明されています。言い換えれば、救済はあくまで例外です。「どこかで救済されるだろう」と苦手科目を残したまま本番に臨むのは、非常に危険です。
総得点の基準が大きく上がった
見落としがちなのが、総得点の基準も前年より大きく上がっている点です。選択式は22点から25点へ、択一式は42点から47点へと引き上げられました。これは受験者全体の平均点が上がったためで、選択式の平均点は3.2点、択一式は5.2点上昇しています。
つまり2026年は「試験が易しくて合格しやすかった」というより、受験者全体の得点が上がり、基準点も上がったうえで、それを超えた人が多かったと見るのが正確です。合格率が上がったからといって、必要な点数が下がったわけではありません。
3. 過去10年の合格率の推移
2026年の9.3%がどれほど高い数字なのかは、過去の推移と比べるとよく分かります。
| 実施年 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 2017年(第49回) | 38,685人 | 2,613人 | 6.8% |
| 2018年(第50回) | 38,427人 | 2,413人 | 6.3% |
| 2019年(第51回) | 38,428人 | 2,525人 | 6.6% |
| 2020年(第52回) | 34,845人 | 2,237人 | 6.4% |
| 2021年(第53回) | 37,306人 | 2,937人 | 7.9% |
| 2022年(第54回) | 40,633人 | 2,134人 | 5.3% |
| 2023年(第55回) | 42,741人 | 2,720人 | 6.4% |
| 2024年(第56回) | 43,174人 | 2,974人 | 6.9% |
| 2025年(第57回) | 43,421人 | 2,376人 | 5.5% |
| 2026年(第58回) | 42,510人 | 3,961人 | 9.3% |
※合格率は合格者数÷受験者数。2025年・2026年は厚生労働省の公表値。
この10年間、合格率はおおむね5〜7%台で推移してきました。2026年の9.3%は明らかに例外的な水準です。2025年の5.5%のように、翌年に大きく下がった例もあります。2027年も同じ水準が続くと考えず、「合格率6%前後の試験」として準備するのが現実的です。
4. どんな人が合格しているのか
厚生労働省は合格者の属性も公表しています。2026年の合格者の内訳は次のとおりです。
- 年代別:30歳代31.4%、40歳代28.2%、50歳代21.2%、20歳代以下11.3%、60歳代以上7.9%(最年少20歳、最年長77歳)
- 職業別:会社員61.9%、無職11.1%、公務員8.0%、団体職員4.5%、自営業3.8%、役員3.2%、学生0.9%
- 男女別:男性58.7%、女性41.3%
合格者の6割以上が会社員で、30〜50歳代が全体の8割を占めます。社労士試験は、働きながら合格を目指す人が中心の試験だということが、数字からもはっきり分かります。まとまった勉強時間を確保しにくい人が多いからこそ、すき間時間の使い方が合否を分けます。
5. 2027年に受験する人が押さえるべき3つのポイント
ポイント1:救済をあてにせず、全科目で基準点を取る
2026年の択一式では救済が一切ありませんでした。総得点が足りていても、1科目でも基準点を下回れば不合格です。得意科目で稼ぐより、苦手科目をなくす勉強を優先しましょう。
ポイント2:選択式は「条文の正確な記憶」で決まる
選択式は、条文や通達の空欄に入る語句や数字を選ぶ形式です。1科目5問しかないため、2問落とすだけで基準点を割ってしまいます。日数、割合、期間などの数字は、法律ごとに少しずつ違うため混同しやすく、横断的に整理して覚えるのが効果的です。
ポイント3:長丁場の本番を想定した演習量
社労士試験は、選択式80分、択一式210分という長時間の試験です。2026年は平均点が大きく上がったように、受験者全体のレベルも上がっています。本番と同じ形式の問題を数多く解き、長い問題文を読み続ける体力をつけておく必要があります。
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参考資料
- 厚生労働省「第58回社会保険労務士試験の合格者発表」
- 井上社会保険労務士事務所「社労士試験の合格率9.3%に急上昇!基準点と救済科目を解説」
- 合格ナビ「社労士試験の合格率推移と分析2026」
- クレアール社労士講座「社労士試験の救済とは」
※本記事の数値は2026年10月25日時点の公表情報にもとづきます。最新の試験情報は、厚生労働省および社会保険労務士試験オフィシャルサイトでご確認ください。